【美味しんぼ】を観て死ね 3

海原雄山


その1 その2

年末年始、Netflixで【美味しんぼ】ばかり観ていた。


あの【美味しんぼ】だ。

山岡が女と「究極のメニュー」を作り雄山と戦う、あの【美味しんぼ】だ。



何でもまずいという男、そうだ。

美食倶楽部の主催、海原雄山だ。

海原雄山はつねに息子、山岡を目の敵にしている。

【美味しんぼ】では「金田一の居るところで殺人事件が起こる」のごとく、至る所に雄山が現れる。

そして、山岡の様子を見るにつけ、言うのだ。

「人の心を感動させることが出来るのは、人の心だけなのだ。材料や技術だけでは駄目だっ!! それがわからぬ人間が究極のメニューだなどと抜かしおって、お前に味を語る資格はないっ!!」

「おまえの今の心がけではどんな料理を作ったところで材料自慢、腕自慢の低俗な見せびらかし料理で終わるだろうっ! そんなお前が究極のメニュー作りとは滑稽だっ!! 笑わせるなっ!! 」


もう、どこでも言う。

レストランの開店パーティーでも言う。息子に挑戦状を叩きつけたくてしょうがないのだ。

同じ知り合いが入院していた病室でも同じ具合に叫ぶ。

TPOがまるでなっていない。

「そんなお前が究極のメニュー作りとはな!」

もう、こればっかり言う。

本当は自分が究極のメニュー作りに参加したかったんじゃないか。

もはや雄山は山岡が羨ましいんじゃないかと思ってしまう。

そのうちきっととんでもないことを言い出す。

「ふふ……気でも狂ったか士郎。だからお前は和食の真髄がわかっていないと言うのだ。カップやきそばは湯を捨てずに食うべきだということわからぬとはな!」


めちゃくちゃだ。ぜったいにお前の方がわかっていない。が、海原雄山は何しろいつだって自信満々なんだ。ちょっと試してみようかと思わせる説得力がある。

「いいか士郎、米のとぎ汁こそが、米そのものなのだ!だからわたしはこの汁を噛むのだ。そして吐き出す。そのあとで吐瀉物に軽く接吻してから米を頂く。これこそが人の心を感動させることだっ!」


とにかく気色が悪い。

「なんだこの部屋の間取りは。どれだけ日当たりがよくても駅近でもこれでは駄目だっ!それがわからぬ人間が究極のメニュー作りとはな!笑止千万っ!お前に賃貸借契約を語る資格はないっ!!!」


物件探しについてくるんだ、雄山が。
内見に一緒にきたときに言うんだろう。当たり前のように一緒に住む気でいるのがこわい。

「そんなメーカーのシャンプーを使っているとはな。そんなシャンプーではドライヤーをした後に髪がきしむのは目に見えておるっ! そんなお前が究極のメニュー作りだなどと抜かしおって。士郎、お前にヘアケアについて語る資格はないっ!」


風呂場にあらわれるんだ、雄山が。

髪を洗い終わって目を開けたら、大柄の男が目の前だ。もちろん脱いでいる。

で、叫ぶ。こわいんだ。



海原雄山にはなりたくない。
その息子にはもっとなりたくない。

(堀内)

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