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【美味しんぼ】を観て死ね 2

【美味しんぼ】を観て死ね 2



富井

その1



年末年始、Netflixで【美味しんぼ】ばかり観ていた。

あの【美味しんぼ】だ。

山岡が栗田と共に「究極のメニュー」作りに挑む。

そして山岡の父である海原雄山と戦う、あの【美味しんぼ】だ。


【美味しんぼ】の良さを伝えたいと思う。


富井副部長だ。


声が甲高いんだ。見た目ほとんどラーメン大好き小池さんだ。

中間管理職のサラリーマンの持つ卑近さ、軽薄さ。見栄っぱり、強情さ、怠慢、女性軽視、すべてが彼に備わっている。

時と場合によって山岡を「山岡!」と呼び捨てにしたり「山岡くん」と猫なで声で呼んだりするのも富井だ。富井らしいんだ。


でも何でも美味いと言う。

そこが彼の美点だ。

何でもまずいという男と比べて、どちらがいいかなんて明白だろう。

頬骨が出て、唇が厚くて、目が三角で、名人三五郎の彫った根付の様な顔をして
自分を知らない、こせこせした
命のやすい
見栄坊な
小さく固まって、納まり返った
猿の様な、狐の様な、ももんがあの様な、だぼはぜの様な、
麦魚の様な、鬼瓦のような、茶碗のかけらの様な日本人

「根付の国」高村光太郎より


高村光太郎の「根付の国」に表現される日本人像は、まさに富井的だ。
ちょっとあんまりだと思う。だぼはぜはともかく、「命のやすい」ってことはないじゃないの。

ただ、それでも憎めないのが富井だ。

軽薄で卑近で、見栄っぱりで強情、怠慢、女性軽視、選民思想、

醜怪、俗悪で、足が臭けりゃ口も臭い。おらが村じゃあ下衆と書いて富井と読む。

はげている。


でも何でも美味いと言う。

わたしは富井副部長のようにありたいと思う。

(堀内)

【美味しんぼ】を観て死ね 1

【美味しんぼ】を観て死ね 1

栗田くん
栗田くん



年末年始、Netflixで【美味しんぼ】ばかり観ていた。

あの【美味しんぼ】だ。

東西新聞のダメ社員、山岡が同僚の栗田と共に創立記念事業「究極のメニュー」作りに挑む。

そのなかで美食倶楽部を主宰する美食家、そして山岡の父である海原雄山と戦うことになる、あの【美味しんぼ】だ。他にどんな【美味しんぼ】もあるわけがない。

そもそも「おいしんぼ」ってなんなんだ。「おい」「しんぼ」って。

「おいし」「んぼ」か。「お」「いしんぼ」か。
そうか、「おいしん」「ぼ」。「ぼう」なのか?
「さびしんぼ」が「さびしがりや」の「ぼう」、すなわち坊主の「坊」だとしたら当然、「おいしんぼ」では、こうなる。

「おいしがりの坊」

おいしがり。

「おいしんぼ」も相当だが、「おいしがり」はもっとわけが分からない。なんとなくだが、卑しい感じがするのはわたしだけだろうか。

「美味しい」を「狩る」のだ。

「おいしい」を「狩る」「坊主」たちの話。

それが「美味しんぼ」なのか。

ちょっと待ってほしい。

だとしたら「いちご狩り」だって「おいし狩り」だろう。なぜなら、いちごは美味しい。いうまでもない。

「ぶどう狩り」も勿論そうだ。「梨狩り」はどうだろう。

わたしは梨が大好きだ。美味しいからだ。

いうなれば「なしがりの坊」だ。条件通りにさかのぼれば、わたしは「なしんぼ」だ。

「梨」を「狩る」「坊」。

それがわたしだ。

だれが梨を狩る坊だ。ふざけるな。






間違えた。



【美味しんぼ】の良さを伝えたいと思う。


まず、栗田くんがかわいいじゃないか。

「もう、山岡さんったら!」

だ。

とにもかくにも、栗田君は山岡に手を焼いている。

気が付いたらモウヤマオカサンタラばかり言っている。

最初のうちは少し味覚が敏感な女子社員だったが、めきめきと頭角を現していく。ジョジョの奇妙な冒険第4部における康一くんの成長を彷彿とさせる。それでいて、しょうもない蘊蓄を垂れることはない。

毎回きちんと驚いてくれるのがいいじゃないか。

「わーっ、後味がとってもさわやかだわ!」

「こっちのお刺身に比べると鮮度が天と地の差だわ!」


いいと思うんだ。

つくりがいがあるってもんだ。

回を重ねるごとに語彙も増えていく。

「ヒラメがシャッキリポンと舌の上で踊るわ!」


シャッキリポンだ。

すごいんだ。栗田くんの感性は。彼女の性格からして決して奇をてらったわけではないだろう。本当に、すなおに思った。シャッキリして、ポンだと。

舌がいかれてるんだと思う。



それが栗田くんだ。

わたしは栗田くんのようでありたいと思う。


(堀内)