抵抗と連帯~LGBT理解増進法について
【性とジェンダーのお話会】,  【連帯イベント】

【配信開始!】抵抗と連帯~LGBT理解増進法について

性とジェンダーのお話会「抵抗と連帯~LGBT理解増進法について」、配信開始しました!

収録番組なので、ご都合の良いタイミングで是非ご視聴ください。

お送りいただいた「連帯メッセージ」と今回の配信で参考にした記事や動画コンテンツ相談窓口を紹介させていただきます。


メッセージをお送りいただいた皆様、本当に有難うございました!
この悲惨な現況を前に、あくまでも絶望せず、アクションを続けていくには、どういう形で連帯するべきなのか、自分自身が消耗/疲弊しないで声を上げ続けていくにはどうしたらいいのか。そのヒントをいただけたように思います。

抵抗と連帯

【ポッドキャストもあります】

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shirusee/episodes/LGBT-e27crau

【連帯メッセージ】

三浦 美和子様

LGBT理解増進法案が提出された5月からわずか1、2カ月の間に、LGBTQ+、中でもトランスジェンダー女性への露骨な差別と憎悪(ヘイト)が急速に広がった。

この状況に対して怒りや不安、もどかしさを感じながら、自分に何ができるかを考えている。一人の力は小さいが、仲間と連帯し、伝え続けていくしかない。身近な仲間たちとは日々情報を交換し、励まし合い、できることを模索している。諦めにのみ込まれそうな瞬間もあるが、絶望したくない。


トランス女性へのヘイトをあおる道具として「風呂とトイレ」の話が出回っている。「女子トイレや女湯に、トランス女性を装った男性が入ってくる」などと不安をあおる言説だ。女性スペースへの侵入は犯罪行為であり、侵入する男性が裁かれるだけのことだ。それを、あたかもトランス女性に問題があるかのような、組織的な世論の誘導を感じている。理解増進法が目指す「人権の保障」という本筋から、どんどん話がそれていっている。目くらましをされている。これこそが、LGBTQ+の人権を侵害しようとする人々、伝統的な社会・家族観という幻想を守りたい人々の狙いなのだと思っている。分断されている場合ではない。


日本共産党 県議会議員 加賀屋 千鶴子様

日本共産党の県議会議員、加賀屋千鶴子です。お話会へのご案内ありがとうございます。
また、このたびの豪雨災害により被災されたみなさんに心からお見舞いを申し上げます。一日も早く復興できるように私も全力をあげてまいります。困っていることなど

あれば、ぜひお声がけください。

さて、今回のテーマのLGBT理解増進法についてですが、今国会で成立された法は理解増進どころか差別を助長するものだと思います。
2021年に超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」で当事者のみなさんと協議を重ねて「LGBT理解増進法案」を合意しました。今国会で、日本共産党、立憲民主党、社民党はこれを審議し成立させるのが筋だとして、議連案を共同提出しました。自民党、公明党はこの案を修正したものを提出し、それをさらに改悪修正したものを維新、国民民主党が提出しました。その中身は「差別は許されない」という議連の案を「不当な差別は許されない」という文言にし、また議連の案にはなかった留意事項を設けて「全ての国民が安心して生活できるよう留意」という文言を入れました。これらは“多数派が認める範囲”でしか性的少数者の人権・尊厳は認められないとのメッセージとなり、差別を助長しかねないもので、当事者のみなさんからも批判の声がありましたが、自民党、公明党、維新の会、国民民主党はこの多数者の権利擁護を盛り込む修正を行ったうえで採決を強行しました。
一方で同性婚を認めないのは「婚姻の自由」を保障する憲法に違反すると5地裁のうち4地裁が「違憲」「違憲状態」という判決を出しています。同性婚やLGBT差別禁止法の法制化を求める世論も高まっています。秋田県でも5月にプライドマーチが開催され多くのみなさんが参加しました。世論も司法も性的少数者の人権・尊厳の保障を求めているからこそ、これに政治は応えなければならないと思います。私たち日本共産党は個人の尊重、ジェンダー平等、多様性の尊重へ今の政治の動きに絶望することなく、多くのみなさんと共に歩み、一緒に時代を動かす決意です。


いわてレインボーマーチ 共同代表 凛月(りつ)様

みなさんこんにちは。
いわてレインボーマーチです。
私たちは、「岩手で多様な生き方を選択・実現可能にし、自分らしく生きる人を増やす」ことを目的に活動しています。

本年 6 月 16 日、参議院本会議において、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの
多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(LGBT 理解増進法)が成立しました。 また、同法は 6 月 23 日に公布・即日施行されました。 しかし、その内容は「理解増進」とはかけ離れ、理解を阻害する内容になっています。 LGBT 理解増進法案は 2021 年、「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言を盛り込んだ超党派の議員連盟で合意に至ったにもかかわらず、国会提出直前に 自民党内から「LGBT は道徳的に許されない」など差別・偏見に満ちた異論が出され、法整 備は頓挫しました。本年、日本維新の会、国民民主党の法案をベースに、自民党、公明党の 4 党によって修正され、LGBTQ+当事者の声も聴くことなく、短期間で改悪されました。


その結果、「差別は許されない」が「不当な差別はあってはならない」と書き換えられ、国に義務付けた調査研究が学術研究に置き換えられ、「民間団体の自発的な活動の促進」も 削除されるなど、法案は大きく後退させられました。とりわけ、第 12 条に「全ての国民が 安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」と、LGBTQ+当事 者の尊厳を踏み躙るかのような文言が入り、政府が具体的な指針を策定するものと規定さ れたことは極めて重大です。
これでは、そもそも差別は不当であるにもかかわらず、「正当な差別」が存在する余 地を法的に残し、「すべての国民の安心」のために、いじめや差別の原因となる無理解を擁 護・温存することにつながり、LGBTQ+当事者の人権が抑制・侵害されかねません。この 法を根拠に、民間団体の活動が「国民に不安を与えている」というような理由付けをされ、 活動を規制される可能性もあります。同法第 3 条の「全ての国民が、その性的指向又はジェ ンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人 として尊重されるものである」という基本理念と明らかに矛盾し、法の効果を真逆に転じさ せるものです。


同法案の審議においては、LGBTQ+当事者が直面する問題ではなく、トイレや公衆浴場 など女性スペースの問題ばかりが取り上げられ、LGBTQ+当事者が女性の安全を脅かすか のような差別的発言が多くの議員からなされました。女性の安全問題は、性暴力の防止、被 害者支援の法整備と取り組みの不十分さが問題であり、LGBTQ+当事者の権利に関わる同 法の趣旨とは本来、別の論点であるはずです。


LGBTQ+当事者が直面している生きづらさ、差別、孤独は命に関わる問題です。
今後、この法律が性的指向や性自認に関する取り組みを阻害する動きに使われることな く、真に基本理念に則った取り組みが進むように強く求めます。

私たちは他団体と連携し、2023年6月30日、岩手県議会に、「LGBT 理解増進法の改定を求める意見書の提出ならびに岩手県にお ける差別禁止条例の制定及びパートナーシップ・ファミリーシップ 制度の導入を求める請願」を提出しました。


委員会、本会議で無事に採択されましたが、採択に至るまでの県側の答弁は非常に酷いものでした。
「岩手県として差別禁止条例は必要ないと考えている」、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度も、県としての導入は考えていない」等々、公権力を行使する立場としてあまりにも人権意識を欠いている発言が多々ありました。
これからも県に対して、継続的にアクションを起こし、まずは地方自治体レベルで取り組めることから実現していきたいと考えています。
全ての人が自分らしく生きられる社会を目指して。
MARCH THIS WAY


ふたば様

●理解増進法wについて


 与党案よりもさらに後退した法律の施行に暗澹(あんたん)たる気持ちです。しかし立法の現場に携わる人から「与党内にもこの後退を防ごうと尽力していた形跡がある」ことなどを聞き及び、今後の運用や法改正など明るい方向に気持ちを向けようと思っています。
 この理解増進法を巡ってはネジレが起きているなぁと感じました。
・修正案(現行法)が差別を助長し得ると知っていながら通した右派勢力。
・修正案(現行法)の後退を懸念して成立に抵抗した勢力。
・修正案(現行法)でもないよりはあったほうがいいと賛成した勢力。
・修正案(現行法)の内容も知らず字面で反対し続けている右派の支持勢力。
(図があるのですがご要望あればお送りします。)
 4番目の「理解してない反対派」が一番がなり声が大きいかなと思います。「少数派のために多数派が不便な思いをするのは間違っている」というような意見を見ると、本当に民主制が分かってないなと残念な気持ちでいっぱいになります。そしてトランスヘイトは苛烈(かれつ)で、シスジェンダーだけでなく「パス度の序列を尊重するわきまえ派トランス女性」も大勢加担しています。これが「当事者も反対している」みたいな形で利用され、分断工作が功を奏していると感じさせます。
 意図的に分断を狙っているであろう人々以外は、大抵は感情で差別心をあらわにしているだけだと思います。感情で物を言っている人達に論理で諭してもしょうがないなと思いますけど、身近な人にそういうトランスヘイターがいたら、まずは信頼関係を構築し、その上で排除的な考えをじわじわ改めてもらう以外に、ヘイトを鎮静化する方法はないと思います。
 排除(exclusion)でなく包摂(inclusion)をというのであれば、マイナスにマイナスを掛ける(排除を排除する)だけでなく、マイナスにプラスを足す(排除に包摂で立ち向かう)ことも大事かなと思っています。

●悲しいニュースやトランスヘイトから身を守る


 私自身、トランスジェンダー当事者でもあり、昨年からSNS上でヘイトスピーチに見舞われることがありました(しかも今なお粘着ヘイターがいるみたいで鍵垢引用されてるみたいなんです)。
 SNSであればブロックする、ミュートする、鍵垢にする等の方法がありますし、ニュースも見ないでやり過ごすことができますが、全くゼロにはできません。
 私には幸い、リアルでお会いできるお友達や仲間がいるので、そういう人達と会ってお話したり、会えなくてもオンラインでやり取りする等、日常のコミュニケーションや生活をしっかり営むことで、侵害されない=ヘイトに屈しないことしかできないのかなと思います。
 ただ、それは私がトランスジェンダーの中でも顔と名前を出して当事者であることを公表して生きている強者(≒インターセクショナリティの上でマジョリティ性が高い)に類するからかもしれません。大多数の当事者は埋没を望んでいるでしょうし、傷付いてしんどい人は多いと思います。

 

●連帯について


 ヘイター達って「罪を憎んで人を憎まず」ができないんだなと思います。トランスジェンダーで性犯罪者、あるいはトランスジェンダーを騙る性犯罪者、はその人個人の話であって、トランスジェンダーという属性全体が犯罪性を帯びているわけではないはずです。とかくヘイターは個々の事例を個別に対処する発想に乏しく、属性で排除しようとするため、例えばトランスジェンダー当事者が判別できるようにワッペン等を着けさせて可視化するのは正当な区別だ(=差別ではない)と大真面目に論じたりします。これはナチスの収容所の方法とまるっきり同じ、決定的な差別なのですけど、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」方式で、トランスジェンダー当事者やその権利回復に協力する人々を、おぞましい性犯罪者とその支援者のように悪魔化していきます。
 これとほぼ全く同じ理由で、日本人は連帯が苦手なんだなといつも思います。共有できる価値観(人権、人間の尊厳等)が原則的に相対化されているというのもありますが、(言霊思想もあってか)意見や感情と人格を一体のものとして捉えるため、「あんなこと言う、あんなことする奴とは手を組めない!」となって運動や活動が瓦解(がかい)するケースが多いなと感じます。潔癖な穢れ忌避思想が、ヘイターにも連帯にも強い悪影響を与えていると思います。
 しかし連帯とは小異を捨てて大同に付くからこそ成立するはずのものです(https://twitter.com/imasato_info/status/1669892306311446530?s=20)。意見が多少違っても、感情的に好きになれなくても、真の目的(LGBT運動であれば性的マイノリティの権利回復)のために手を組むのが連帯です。
 トランス差別の解消を叫ぶと必ず立ちはだかるのが女性差別の話です。女性差別が解消さていないのにトランス(女性)差別の解消だなんて「女性が消される」と言われます。権利回復運動は包括的なもので、トランスジェンダーの権利回復や利害調整は女性の権利回復や利害調整にも通じているはずなのです。
 より具体的にはコミュニケーションを取ること、解像度の高い知識を共有していくこと、可視化をすること、等が求められていると思います。

●まとめると


 民主制や立憲主義、人権、フェミニズム、リベラリズム…等が誤解されたまま、古くからの信仰や習慣、今いる人間の感情等にかき消されているのが現状だと思います。正しい論理を展開する以上に、崩れ去った社会の紐帯(ちゅうたい)や信頼関係を取り戻す。そこから始めないといけないなと日々思って、ほんのり行動しています。
(いつも長くてスミマセン。)

 


●今回の配信で参考にした記事や動画



●相談窓口(秋田多め)

・「みんなの人権110番」

人権に関わる困りごとを相談したい人への窓口 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html
ナビダイヤル 0570-003-110(月〜金8:30-17:15祝日年末年始除く)

・「よりそいホットライン」

こころの悩みを相談したい人への窓口 https://www.since2011.net/yorisoi/
電話相談だけでなく、チャット、SNSでの相談もできる
フリーダイヤル 0120-279-338 岩手、宮城、福島からは 0120-279-226(24時間対応)

・「性と人権ネットワークESTO」

性自認や性的指向についての相談をしたい人への窓口 http://estonet.info

・「市立秋田総合病院虹外来」

LGBTによる悩みや健康について相談したい学齢期の子どもへの窓口
TEL 018-823-4171(代表)
メール 1026niji@akita-city-hospital.jp
第3水曜日(予約制)電話対応の場合は医事課まで13:00-15:00

・「NPO法人あきた結いネット」

コミュニティーサポート、ホームレス支援、身元保証事業など様々な相談を受け付けている。
https://akitayuinet.com
TEL  018-874-8897 平日 9:00~17:00
メール info@akitayuinet.sakura.ne.jp

・「あきた自殺対策センター NPO法人蜘蛛の糸」

秋田で悩んでいる人のための相談窓口
http://kumonoito.info

LINE ID検索:@156uujqi    毎週火曜日~土曜日(日・月はお休み)16時~21時
TEL018-853-9759/FAX 018-853-9758 
メール kumonoito@email.plala.or.jp

・「秋田県中央男女共同参画センター」

様々な相談を受け付け、法的な問題について弁護士が助言を行う法律相談も行なっている。
https://akitawmc.com

〒010-0001 秋田市中通二丁目3-8 アトリオン6階
(秋田駅より徒歩5分)9:00-21:00土日は17:00まで
TEL 018-836-7853  FAX 018-836-7854

メール akitawmc@alpha.ocn.ne.jp


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